【創業支援コラム】ある経営者のメッセ-ジ
ある経営者のメッセ-ジ
先日事務所の書籍棚を整理していて、「真実 アントニオ猪木」(アントニオ猪木著 ゴマブックス)という書籍が出てきました。
この書籍は、猪木vsアリの真相と、それを通してのアントニオ猪木のメッセ-ジです。
私が、この書籍で注目したのは、経営者としてのアントニオ猪木です。
今回は、同書籍から引用いたします。
まず、人との出会いの大切さ、流れに乗ることの大切さを、明瞭に表現しています。
「人生には、一瞬にして運命が変わる瞬間が何度かあるものだ。それまで当たり前だと思っていたことが、そうでなくなったとき。今まで信じていたものが信じられなくなったとき。人は苦境に陥って初めて、謙虚さを学ぶのかもしれないが、アリとの試合は私にとって、一瞬にして運命が変わる瞬間であったことは間違いない。」(p120)
驚いたのは、下記の記述です。
「人間にも、企業にも、そして国家にも、成長期や衰退期といった波があるものだ。
経済理論で『Sカ-ブ理論』というものがある。『S』という字を横に倒した図をイメ-ジしてほしい。これは時間の経過と物事の成長や発展との関係を表す曲線で、時間は、『導入期』『成長期』『成熟期』『衰退期』の4つに区分されている。
たとえば、新日本プロレスを例に話しをしてみよう。
72年に新日本を旗揚げしてから、しばらくの間は『導入期』にあった。それが76年のアリ戦を契機に観客動員数、テレビ視聴率がうなぎのぼりになっていった。つまり、アリ戦とは、新日本にとって、『成長期』に移行するための起爆剤だったのだ。それからは、81年のタイガ-マスクの登場やIWGP構想もあって、しばらくの間、安定期である『成熟期』に突入した。この間は、何をやってもうまくいく。東京ド-ム興行を連発することさえ可能だった。しかし、この時点で安心してしまったり、慢心してしまったりすると、やがて、訪れる『衰退期』になす術もなくなってしまう。」(p167~p168)
「私自身の話で言えば、まさにアリ戦は成長期の入り口にある時期だった。周囲の誰もが『そんな無鉄砲なことをやって大丈夫?』と心配したけれど、成長期の真只中にある私にとって、恐れるものは何もなかった。ただ自分の感性のままに突っ走るだけで、物事はどんどん好転していった。もし、今の私に『同じことをしろ』と言われても当然できないし、アントン・ハイセル事業で悩み苦しんでいる頃では、到底アリとの闘いなど実現不可能だったことだろう。
ク-デタ-騒動、離婚問題の渦中にある頃、私は衰退期に入っていた。衰退期では、やることなすことすべてが裏目に出る。この理論は、何も経済に限ったことだけではなく、人間の精神でも同じことが言えるのだと思う。
自殺を考えていた頃、私は確かに衰退期にあったのだった。」(p169)
ここには、新日本プロレスという会社の経営者として、市場の変化と、その時々でその企業のおかれている状況の対応を見事に表現していると感じます。
あのアントニオ猪木が、自殺を考えたことがあったとは、びっくりしました。
「あなたは何のために生まれてきたのですか? そう問われるならば、私は『プロレスラ-という使命を果たすため』と答えるだろう。身体を張って、命を賭けて、ファンの人たちに夢と希望を与える。それが私の使命なのだと思う。そして、その使命を実行するために、私は生まれてきたのではないだろうか?」(p172~p173)
私は、自分自身を知り、そして自分自身の好きなこと、得意なこと、やりたいことを
仕事とし、人のため世のために役立つことが、幸せなことだと考えています。
使命感をもって経営にあたるのは、大切なことであると考えます。
「人は歩みを止めたときに、そして、挑戦をあきらめたときに年老いていくのだと思う。」「元気があれば、何でもできる」(p204~p205)
元気で本気で挑戦して、そして本気で挑戦し続けていきたいと新ためて感じました。
また、起業するにあたって、「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」という概念を、頭の片隅に入れておいてくださいね。
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