【創業支援コラム】貸倒損失
貸倒損失
今月も、八王子市で個人事業を開業したい、八王子市で新しく会社を設立したいというお問い合わせをいただきました。
ありがとうございます。
先日、医療脱毛サロンの運営法人が破産申請しました。債権者数は9万人を超えるそうです。前払い料金を支払って利用していた顧客、そこで働いていた元従業員、そして、そこと取引していた事業者などが含まれます。
年末や年度末になると、倒産が増えるので、注意が必要ですね。
起業して事業を継続していると、売掛金の入金が遅れたり、場合によっては、弁護士や裁判所から取引先の倒産の事実を知ることがあります。
売掛金などの債権が回収できないことを貸倒損失と言います。この貸倒損失は、貸倒の事実認定が難しいことから、税務上、貸倒の計上できる事実やその金額と計上時期を通達で以下のように定めています。
法人税基本通達
【9-6-1金銭債権が切捨てられた場合(法律上の貸倒)】
次に掲げるような事実に基づいて切り捨てられた金額は、その事実が生じた事業年度の損金の額に算入されます。
1 会社更生法、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律、会社法、民事再生法の規定により切り捨てられた金額
2 法令の規定による整理手続によらない債権者集会の協議決定および行政機関や金融機関などのあっせんによる協議で、合理的な基準によって切り捨てられた金額
3 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができない場合に、その債務者に対して、書面で明らかにした債務免除額
【9-6-2金銭債権の全額が回収不能となった場合(事実上の貸倒)】
債務者の資産状況、支払能力等からその全額が回収できないことが明らかになった場合は、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理することができます。ただし担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ損金経理はできません。
なお、保証債務は現実に履行した後でなければ貸倒れの対象とすることはできません。
【9-6-3一定期間取引停止後弁済がない場合等(形式上の貸倒)】
次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対する売掛債権(貸付金などは含みません。)について、その売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をすることができます。
1 継続的な取引を行っていた債務者の資産状況、支払能力等が悪化したため、その債務者との取引を停止した場合において、その取引停止の時と最後の弁済の時などのうち最も遅い時から1年以上経過したとき
(ただし、その売掛債権について担保物のある場合は除きます。)
なお、不動産取引のように、たまたま取引を行った債務者に対する売掛債権については、この取扱いの適用はありません。
2 同一地域の債務者に対する売掛債権の総額が取立費用より少なく、支払を督促しても弁済がない場合
売掛債権等が、回収できなくなっても、条件を満たさなければ、貸倒損失と計上しても否認されることになりますので注意が必要です。
そして、回収不能になる前に、取引先に倒産等の予兆が見られた場合、早めの対応が必要です。場合によっては、弁護士に相談されることをお勧めいたします。
余談ですが、昔、「パクリ屋」に被害があったお客様がいらっしゃいました。
パクリ屋とは、代金を支払う意思もないのに商品を購入し代金を支払わないで、そのまま、消息を絶つ詐欺です。
手法は、最初に少額の取引を現金払いで購入し安心させ、数か月後大口の発注をします。そして、代金の支払いをせず、消えてしまいます。換金性の高い商品が狙われていましたが、何でも売れるこの時代は、怖いですね。
今は、パクリ屋の被害は聞きませんが、売上だけ追っていると、つい油断して、このような被害にあうこともあるので注意が必要ですね。
パクリ屋は、詐欺の手法の一つですが、倒産を考えている会社もこれに近い行為を行う可能性があります。
また、起業したものの、運悪く取引先の倒産により、経営が行き詰まることもあります。そのような場合、連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための共済制度(倒産防止共済)もありますので、利用することをお勧めいたします。
債権回収や倒産などの法律問題に関しましては、提携先の弁護士先生をご紹介させていただきます。
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