【創業支援コラム】事業とは

事業とは

  八王子・多摩会社設立支援機構へご面談に来られた方で、次のようなご相談がありました。

「今会社に勤務しているのですが、嫌な上司がいて自分自身で事業を始めたいと思っています。どのような事業がいいでしょうか。」

「どのような内容で事業を始めるかは、時間をかけてでも、あなたご自身でお決めになってください」というご回答が結論です。

 事業とは、市場活動であり、それは、お客様の要求を満たす活動です。

お客様の要求は、世の中の流れが変わるにつれて、また、お客様自身の成長によって常に変化していきます。つまり、事業経営とは、顧客の創造であり、変転する市場とお客様の要求の変化を正しく見きわめて、これに合わせて、自分自身の会社をつくりかえることです。そして、お客様の要求を知るためには、まず、経営者自らがお客様訪問をし、自らの目と耳と肌で、お客様の要求をしっかりとらえることから始めなければなりません。

 事業は、そこから収益をあげなければならないものです。収益をあげることができるのは、市場しかありません。(内部管理からは収益は生まれません。)

 正しいサービスをし、正しい報酬をいただく。これが事業であり、それは、お客様の要求を満たすことによってのみ可能となります。お客様の要求を満たすことは、面倒臭く、能率が悪く、経費がかかります。このことを肝に銘じ、あなたの事情は一切無視し、ただひたすらにお客様に奉仕する企業が存続でき、成長・拡大し安定できるのです。

 お客様の要求を満たす手段は、大きく分けて物的施設と人的労力の二つになります。物的施設は「金をかける」ものであるのに対して、人的労力は「手間をかける」ものです。そして、本当に優れたサービスというのは、手間をかけることです。本当にお客様を満足させるもの、感激させるもの、感謝されるものは明らかに手間をかけることであり、気を配ることです。気配りは言葉や動作にあらわれます。

 本当に立派なサービスをすると、「心の交流」ということが生まれ、お客様から感謝されます。これが、サービスをする私たちの心に、大きな喜びとなります。それは、サービスをする人の、やりがい感・生きがい感となってきます。

 ところで、お客様の要求を満たそうとしているのは、ご自身の会社だけではありません。必ず競争相手がいます。しかも、その競争相手は必ずしも同業とは限りません。他業界からの参入もあります。

 これらの競争相手とせり合って勝つためには、ご自身の経営する会社が経営者をはじめ、総力をかけて一糸乱れぬ行動が必要になってきます。

 したがって、事業経営とは、顧客の要求に焦点を合わせ、経営者の意思と責任において、まず、事業構造それ自体を収益の出るように変革することです。次に、この事業構造をふまえて、収益を上げるために必要な活動を展開することです。

 ご相談された方が、将来起業なさった時に、ご自身が想定するお客様に、販売できる最高の商品や、提供できる最高のサービスを探し、しいてはご自身の強みにお気づきになることを期待しています。

 

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